つれづれなるままに

モーニングノートの代わりに書いたり。主に今ハマってる事とか。最近はミニマリスト→心屋仁之助さん→MEC食、イド・インヴェイデッドなど。3年前の夏に脳腫瘍が見つかり、翌月手術しました。

『煙か土か食い物』を読んで 舞城王太郎 著

こんにちは。最近舞城作品をずっと読んでます。
昨日は淵の王を読んだけど怖かった…夜中に読んじゃいけませんあれは(怖いの苦手)

さて、煙か土か食い物。タイトル聞くとなんじゃそりゃと思いますが読んで行くと分かります(後で説明します)あと勢いで書いているのでまた後で書き直すかも…

これはデビュー作品なので、けっこう期待して読み始めましたがそれ以上にめちゃくちゃおもしろかったです。やっぱり原点なんですねきっと。才能の爆発って感じがします。
ただ暴力シーンや格闘シーン、それとラスト近くにけっこうどぎつい箇所があるので覚悟して読んだ方がいいと思います。以下ネタバレなので注意↓







主人公は外科医。始めは舞台がアメリカなので外人なのかと思いきや、日本人でした(少し外国の血が入ってるようですね なので背が高い)。
オペの技術がかなり高い医師のようです。その日も仕事に向かう途中に、母親が頭に重傷を負ったので帰郷しろと言われ、福井の実家に戻ります。

母親が入院している病院で警察や担当医から事件の詳細を聞きます。お母さんは連続主婦殴打事件の5人目の被害者で、何者かに頭を殴られ、発見された時 自宅の庭に生きたまま埋められていた。今は昏睡状態で目が覚めていない。

犯人はまだ捕まっていないし、手がかりもほとんど無さそうです。主人公(奈津川四郎)は怒りのあまり暴れだしましたが 幼なじみの取りなしもあって何とか自制し、犯人を見つけ出して復讐しようと決心します(なんかイドっぽいですね…)

四郎は幼なじみや警察のつてで事件の詳細を手に入れ、発見したヒントを元に新たな手がかりをつかんでいきます…

というような流れなのですが、四郎や周りの人の頭がいいのでトントン拍子に犯人に近づき、展開も早いので疾走感がものすごいです。舞城さんの若さと才能ときらめき…!にあふれています。謎もおもしろいし無駄がほとんど無い気がする…(ドラ○もんはよく分からなかったけど)

四郎は4人兄弟で2番目の兄、二郎の話が途中で入っていて『これは何でこんなに尺を取って説明してるんだろう…』と思ったのですが
この話を推理小説ではなく、家族愛の話だと捉えればああそうか…と納得がいきました。

感想としては、二郎が怖い。ひたすら暴力と復讐。そしてそれを楽しんでいる。また、顔がよくて頭がいいし残忍なので このまま行くと歴代の殺人鬼になりそう…というかなるな絶対、という確信が持てる。鬼神というか阿修羅みたいな感じでした(中学生なのに)。

とにかく、人の戦意を失わせて心を折るのがうまい。他に使えないのその才能…という印象です。でも二郎は 疎まれている父親をきっと愛していて、でも暴力か無視しか帰ってこなくて だから悪い事をして関心を得ようとしてたみたいですね…。(私の母の次兄がそんな感じでした。すごく大好きな伯父でしたが)

煙か土か食い物というタイトルは、四郎達の祖母が癌にかかり、襲ってくる激痛に苦しんでいた時に言っていたものです。『人間はしんだら煙か土か食い物や。火に焼かれて煙になるか、地に埋められて土んなるか、下手したらケモノに食べられてしまうんやで』と。

私は文庫本で読んだんですが表紙でタイトルがSmoke、Soil or Sacrificesとあって これSが3つですね…何か意味あるのかな…これも解いてみたいです。それと表紙をよく見るとこわいです…これも意味ありそうですね。。

この話にはルンババ12という名探偵が出てくるんですが、他にも舞城作品に出てくる人物がチラチラいるので、よかったら探して見てください(本郷タケシタケシとか…)

まあめちゃめちゃおもしろいんですが、初舞城だとちょっとショッキングかも…
(ちなみに私は龍の歯医者が初でした。次が『好き好き大好き超愛してる』これもいい作品です)